物流や運送業界では、多くの企業が日夜、安全な輸送サービスの提供を目指しています。
事故の発生を防ぎ、従業員の安全を守ることは、運送会社にとって社会的責任であり企業としての信頼性を保つための重要な取り組みです。
本記事では、企業に求められる安全対策の意義や交通事故の傾向、主な死傷事故の原因について解説するとともに、中島運送が行っている具体的な安全対策について紹介します。
企業に求められる安全対策の重要性
事故が企業にもたらすリスク
運送会社にとっての事故は、人命への危険はもちろんのこと、企業経営にも多大なリスクをもたらします。
具体的には、人命や財産への損害に対する賠償責任や修理費用の発生だけでなく、イメージ低下や取引先からの信頼喪失にもつながります。
また、従業員にとっても心理的な負担がかかり離職率の増加や採用の難しさなど、長期的な問題が生じることも少なくありません。
そのため、事故防止に向けた積極的な安全対策は、運送会社の健全な経営のために欠かせません。
安全対策が企業の信用につながる
安全対策を徹底することは、企業の信頼性向上にも大きく影響します。
安全に配慮した運行管理や社員教育を実施することで、取引先や利用者に対して「安心して依頼できる企業」というイメージを築けます。
また、貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)の認定取得など、安全性に対する取り組みを示すことで企業の社会的信用が高まり、顧客の獲得やリピーターの増加にもつながります。
安全対策に資金はかかるものの、単なるコストではなく、企業の競争力を高める重要な経営戦略といえるでしょう。
事業用貨物自動車の交通事故の傾向
令和4年度の事業用貨物自動車の交通事故に関する統計データによると、死傷事故の件数はわずかに減少傾向にあるものの、年間9,371件の事故が報告されています。
以下の表が示すように、事故類型の中でも特に追突事故が全体の40%以上占めており、出会い頭の衝突や右左折時の事故と合わせると、全体の67%に上ります。
【事業用貨物自動車の主な事故類型の死傷事故件数の推移】
▽スライドできます。
事故類型 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|---|
追突 | 5639 | 4447 | 4326 | 4376 |
対歩行者 | 817 | 643 | 683 | 670 |
出会い頭衝突 | 1053 | 920 | 870 | 825 |
左折時衝突 | 746 | 619 | 627 | 595 |
右折時衝突 | 673 | 502 | 547 | 471 |
その他 | 2701 | 2318 | 2362 | 2434 |
事故件数合計 | 11629 | 9449 | 9415 | 9371 |
死傷事故の主な原因
全日本トラック協会による令和4年の死傷事故の事故類型詳細区分別や件数を以下表をご確認ください。
▽スライドできます。
事故類型詳細区分別 | 件数 | 割合 | 主な原因 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
追突(駐・停車中) | 3,831件 | 40.9% | ・注意散漫 ・ブレーキ操作の遅れ |
高速道路や交通量の多い道路での駐停車に特に注意 |
出会い頭衝突 | 825件 | 8.8% | ・信号無視 ・一時停止確認不足 |
見通しの悪い交差点での左右確認を徹底 |
車両相互(その他) | 654件 | 7.0% | ・判断ミス ・一瞬の不注意 |
予測不能な状況への備えが必要 |
進路変更時衝突 | 618件 | 6.6% | ・死角確認不足 ・ウインカー未使用 |
十分な安全確認と緩やかな操作を心がける |
左折時衝突 | 595件 | 6.3% | ・周囲確認不足 ・歩行者等への注意不足 |
歩行者優先と自転車等の動きを予測 |
追突(進行中) | 545件 | 5.8% | ・前方不注意 ・車間距離不足 |
適切な車間距離の確保 |
右折時衝突 | 471件 | 5.0% | ・安全確認不足 ・タイミング判断ミス |
対向車と歩行者等の確認を徹底 |
横断中事故 | 409件 | 4.4% | ・横断者の確認不足 ・速度超過 |
横断歩道付近での徐行と確認 |
後退時衝突 | 408件 | 4.4% | ・後方確認不足 ・バック操作ミス |
バック時の周囲確認を徹底 |
追突事故全体(駐・停車中+進行中)で4,376件(46.7%)を占めており、注意が必要な事故類型となっています。
表を参考にし、死傷事故の主な原因について、以下で詳しく解説します。
追突-駐・停車中
交通事故の中で最も発生件数が多いのが、駐車や停車中の車両への追突事故です。年間で3,831件(約40.9%)の死傷事故が報告されています。
事故の主な原因は、注意が散漫になって停車中の車両に気づかなかったり、ブレーキ操作が遅れたりすることです。
高速道路や交通量の多い道路での駐・停車時には、細心の注意が必要となります。
出会い頭衝突
交差点や見通しの悪い場所での出会い頭衝突は年間で825件(約8.8%)発生しています。
信号無視や一時停止の確認不足が主な原因で、相手車両とのタイミングのズレが衝突につながります。見通しの悪い交差点では、左右の安全確認を徹底することが重要です。
車両相互(その他)
車両同士の衝突のうち、特定の状況に分類されないものが年間で654件(約7.0%)報告されています。
車両の進行方向の違いや複雑な交通状況など多岐にわたり、運転者の判断ミスや一瞬の不注意が原因となることが多いです。
進路変更時衝突
進路変更時の事故は年間で618件(約6.6%)発生しています。
主に車線変更時の死角確認不足が原因で、急な進路変更やウインカーの未使用により、後続車両や隣接する車両との衝突が起きています。
進路変更の際は、十分な安全確認と緩やかな操作を心がけましょう。
左折時衝突
左折時の衝突事故は年間で595件(約6.3%)に上ります。
歩行者や自転車、バイクを巻き込むケースが多く、交差点での左折時における周囲の確認不足が主な原因です。
歩行者優先の意識を持ち、自転車などの動きを十分に予測した運転が重要です。
その他
その他の事故類型として、追突(進行中及び追越・追抜時)が545件(5.8%)、右折時衝突が471件(5.0%)、横断中の事故が409件(4.4%)、後退時の衝突が408件(4.4%)報告されています。
なお、停車中の追突事故(3,831件)と進行中の追突事故(545件)を合わせると4,376件(46.7%)となり、全体の約半数を占めています。
多くの事故が運転中の注意不足や確認の甘さから発生しているため、特に後退時や交差点での進行方向変更時には、細心の注意を払う必要があります。
安全対策のための中島運送の取り組み
安全性優良事業所認定の取得:Gマーク認定
中島運送は、交通安全への取り組みが高く評価される「Gマーク」(安全性優良事業所認定)を取得しています。
Gマーク(安全性優良事業所)認定は、全日本トラック協会が実施する制度で、安全な運輸業務を行う事業所を認定し、トラック運送業界全体の安全向上を図ることを目的としています。
この認定制度では、事業所の交通事故防止の取り組みや車両管理の徹底など、安全対策の実施状況が評価され、一定の基準を満たした事業所が「安全性優良事業所」として認定されます。
参照元:安全性優良事業所認定制度|全日本トラック協会(https://jta.or.jp/member/tekiseika/gmark/about_gmark.html)
ドライブレコーダー・ETCの装備、管理システムの導入
中島運送は、安全で効率的な運行を実現するため、全車両にデジタコ・ドライブレコーダー・ETCを装備しております
1. デジタコ・ドライブレコーダー
- 運転中の映像を常時記録
- 運行データの記録
- 事故発生時の原因特定に活用
- 運転状況の確認による事故防止
2. ETC(自動料金収受システム)
- 高速道路での円滑な通行を実現
- 料金所での渋滞リスクを軽減
これらのシステムを統合的に活用することで、安全性の向上と業務効率化を実現しています。
環境への取り組み:グリーン経営認証取
グリーン経営認証は、運輸事業を中心に環境に配慮した経営を推進する取り組みです。
この認証の取得には、事業者が環境保全や効率的な運営を行うための具体的な行動が求められます。以下では、認証取得によって得られる主なメリットをご紹介します。
1. 燃費の向上
グリーン経営認証を取得した事業者は、エコドライブや車両点検の徹底を通じて、燃費の向上を実現しています。
例えば、トラックでは平均で3.3%、バスでは2.7%、タクシーでは1.6%の燃費向上が報告されています。
2. 交通事故・車両故障の減少
安全運転教育やスピード管理の強化により、交通事故や車両故障の発生件数も大幅に減少します。
認証取得1年目で交通事故が24.8%、車両故障が18.5%減少した事例があります。これにより、事業運営のリスクが低減し、保険料や修理費用の節約が可能となります。
3. 従業員の士気向上
環境保全活動への取り組みは、従業員の意識変革を促します。職場全体で目標を共有することで、モラルが向上し、業務改善やリーダー層の育成にも寄与します。
また、従業員が自発的に提案し行動する文化が醸成されると、企業全体の活性化につながります。
4. 社会的評価向上
グリーン経営認証は、環境への責任を果たす企業としての信頼性を高めます。
取引先や顧客からの評価が向上し、ビジネスチャンスの拡大が期待できます。また、環境に配慮した事業者としての認知が進み、自治体によってはグリーン経営認証取得を支援しています。
参照元:CSR活動 | 中島運送株式会社(https://nakajima-exp.co.jp/company/csr/)
運送の依頼は中島運送まで
中島運送は、大阪府を中心に全国へ配送できる運送会社です。
長距離から短距離まで、全国各地への配送を長年培ったネットワークを活用して対応し、路線会社やチャーター協力会社との提携により、様々な輸送方法を実現しています。
大阪府全域(一部エリアを除く)では、当社の自社車両による配送を行っています。コスト削減や品質向上を実現し、お客様に最適なサービスをご提供します。
また、小口貨物や共同配送、貸切便など、様々なオプションを用意しており、配送時間やコスト面での最適化を目指します。
安全な運送・配送をお求めの方は、ぜひ中島運送にご相談ください。
まとめ
運送業界において、安全対策は企業の社会的責任であり、持続可能な経営のための重要な要素です。
事故は人命への危険はもちろんのこと、企業の信用にも大きな影響を与えます。
統計によると、事業用貨物自動車の事故で最も多いのは追突事故で、全体の46.7%を占めています。
この現状を踏まえ、中島運送では、Gマーク(安全性優良事業所)認定の取得やドライブレコーダー・ETCの全車両装備、管理システムの導入など、具体的な安全対策を実施。さらに、グリーン経営認証を取得し、環境に配慮した持続可能な物流サービスの提供にも取り組んでいます。