基礎知識

私たちの生活に欠かせない物流を支える運送業界ですが、現在さまざまな課題に直面しています。

人手不足やドライバーの高齢化、燃料費の上昇、そして働き方改革による「2024年問題」など、これらの問題は業界全体にとって大きな課題です。

本記事では、運送業界が抱える課題を解決するために、必要な取り組みについてわかりやすく解説します。

運送業界の現状

トラック輸送産業の市場規模

トラック輸送産業の市場規模は令和元年には、19兆3,576億円に達しており、日本全体の物流市場の約7割を占めています。
他の輸送手段と比べるとドアツードアで届けられるため、利便性が高く消費者や企業にとって必要不可欠なサービスです。

例えば、日常生活における商品配送から企業間の大量輸送まで、幅広いニーズに対応しています。また、トラックは災害時や緊急事態においても迅速な対応ができる機動力が評価されています。

このような背景から、トラック輸送産業は国内の経済活動を支える基盤となっており、市場規模は今後も高い水準を維持すると見られています。

参照元:日本のトラック輸送産業現状と課題2023

トラック輸送産業の就業者数

日本のトラック運送業界は、その約9割が中小企業で占められ、約201万人が働く労働集約型の産業です。

近年では就業者の高齢化と若年層の参入不足が深刻な問題となっており、ドライバーの平均年齢が上昇していることが大きな課題です。

業界全体でも、新しいドライバーを確保することが難しくなっており、人手不足が深刻化しています。

理由としては、運送業界が過酷な労働環境であるというイメージが広く認識されていることが一因だと考えられます。

さらに、2024年問題によって、労働時間の制限がさらに厳しくなることにより、人材不足が一層深刻になることが懸念されています。

このような状況で、業界全体が持続可能な労働環境を整備し、新たな人材を積極的に確保・育成するための対策を講じることが急務とされています。

参照元:日本のトラック輸送産業現状と課題2023

運送業界が直面する課題

運送業界は、日本の物流を支える重要なインフラですが、いくつかの深刻な課題に直面しています。

人手不足やドライバーの高齢化、燃料費の高騰、そして2024年問題に代表される労働環境の変化が業界全体に大きな影響を与えています。

これらの課題に対してどのように対応するか、大きな課題となっています。

人手不足とドライバーの高齢化

運送業界では、人手不足が深刻な問題となっています。

中高年層の男性労働力に大きく依存しており、ドライバーの高齢化が進んでいます。

下記のデータで見てとれるように、業界全体が年々高齢化し、将来的な労働力の確保が困難になることが懸念されています。

【令和4年のドライバーの割合】

  • 40歳未満の若い就業者23.9%
  • 40歳以上50歳未満が27.4%
  • 50歳以上が48.8%

さらに、女性の比率も低く、就業者全体では20.4%、輸送・機械運転従事者に至ってはわずか3.5%に留まっています。

ドライバーの労働環境は、長時間労働や過酷な勤務条件が原因で、若い世代や女性にとって魅力的な職業とは言えないのが現状です。

これらの課題に対応し、持続可能な労働環境を整備することが求められています。

参照元:日本のトラック輸送産業 現状と課題 2023

燃料費の高騰とコスト負担

燃料費の高騰は、運送業界にとって避けられない重いコスト負担となっています。

特にトラック輸送においては、主にディーゼル燃料が使用されており、その価格の変動が経営に直結します。

近年では、世界的な原油価格の高騰が続いており、多くの運送会社が大きな経済的負担を抱えている状況にあります。

しかし、運送業界は荷主に対して価格交渉力が弱く、運送料金の値上げが難しいことが現状です。

燃料費の高騰がそのまま運送業者の利益を圧迫し、業界全体の競争力を低下させる要因となっています。

今後の燃料価格の動向によっては、業界全体の収益性に深刻な影響を与える可能性があり、経営改善のための対策が大きな課題となっています。

2024年問題への対応

2024年4月に施行された働き方改革関連法の一部改正により、運送業界が直面する深刻な課題のことを「2024年問題」といいます。

この改正によって、トラックドライバーを含む運送業界の労働者に対する労働時間規制が強化されました。

ここでは、2024年問題について詳しく解説していきます。

ドライバーの時間外労働時間の制限

これまでトラックドライバーは他業界に比べて比較的緩やかな時間外労働規制が適用されていましたが、2024年4月に施行された新しい労働規制によってドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されます。

この制限は、ドライバーの負担を軽減し、労働環境を改善することを目的としていますが、その一方で、配送能力が低下し業務に支障をきたすリスクもあります。

運送業者は運行スケジュールの見直しや業務効率化を図る必要があります。

ドライバーの収入減少と人材不足

運送業界は長年ドライバー不足が課題となっていましたが、ドライバーの時間外労働時間の制限によって、今後はさらに多くの運転手が必要になります。

しかし、業界全体での人手不足が解消される見通しは立っておらず、今後、物流の停滞や運賃の上昇が懸念されています。

さらに、長時間労働によって高い収入を得ていたドライバーにとって、この制限は収入の減少につながります。

収入が減少することで、さらに多くのドライバーが業界から離れてしまい人材不足が一層深刻化する可能性があります。

この問題に対処するためには、給与形体の見直しや、労働時間内で効率的に業務を行える体制を整えることが求められています。

ドライバーにとって魅力的な労働環境を提供することで、離職率の低下と新規参入者の増加を目指すことが重要です。

運賃の値上げ、物流コストの増加

労働時間の制限や燃料費の高騰により、運送業者は運賃の値上げを検討せざるを得ない状況にあります。

物流コストの増加は避けられないため、運送業者が荷主と適切な料金交渉を行い、運賃の引き上げを行うことが求められます。

これまで交渉力が弱かった運送業界にとって、2024年以降はこの課題をどのように克服するかが鍵となります。

さらに、物流コストの増加は消費者にも影響を及ぼす可能性があり、業界全体で適切な価格設定と持続可能なビジネスモデルの構築が求められます。

課題解決に向けた取り組み

テクノロジーによる業務効率化

運送業界では、テクノロジーによる業務効率化が重要となります。

具体的には、AIやDXを活用した配送ルートの最適化や物流の可視化によるリアルタイムの進捗管理が挙げられます。これにより、無駄のない効率的な運送が可能になり、労働力の不足を補うことができます。

また、車両の管理やメンテナンスの自動化により、稼働率の向上やコスト削減も実現できます。デジタル化を進めることで、データに基づいた意思決定が可能となり、業務の精度とスピードの向上も期待できます。

若年層や女性の労働者を増やす

運送業界での人手不足を解消するためには、若年層や女性の労働者を増やすことが課題になっています。

若年層にとっては、業界のイメージや将来性の不透明さが就職を敬遠する理由の一つです。安定したキャリアパスの提示や教育・研修制度の充実が必要です。

また、女性が参入しにくい理由には、職場環境や長時間労働、体力的な負担が大きい業務内容が挙げられます。これらの課題を解決し、多様な人材が働きやすい環境を整えることが求められています。

参照元:日本のトラック輸送産業現状と課題2023

持続可能な運賃設定とリードタイムの見直し

運送業界の持続可能な成長には、適正な運賃設定とリードタイムの見直しが必要です。

国土交通省は、標準的な運賃を約8%引き上げ、労働条件の改善を図ることで、ドライバーの賃金向上を目指しています。

また、リードタイムの調整により、無理のない配送スケジュールが可能となり、過剰な労働やコストの発生を防ぐことができます。

これらを実現するには、荷主との協力が不可欠であり、双方が納得できる条件での取引が求められます。

参照元:新たなトラックの標準的運賃を告示しました~運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算~:国土交通省

運送・配送の依頼は中島運送

中島運送は、大阪府を中心に全国へ資材を配送する運送会社です。

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